酪農の現場で、今一番悩んでいる乳房炎の原因菌は環境性レンサ球菌ですが、最も治療が困難な環境性レンサ球菌群を細かく調べることにより、これらの細菌の汚染状況ならびに乳房炎の効果的な治療を進めるための方針が立てられます。
例えば、無乳レンサ球菌は抗生物質により1日で98%の治療効果が出ますが(表1)、同じレンサ球菌でもストレプトコッカス・ウベリスは治療効果が現れるまでに最低1週間~8日かかります。エンテロコッカス属はほとんどの抗生物質に抵抗性を示し、完治しない場合が多いのです。これでは抗生物質を無駄に使うことになってしまいますし、的確な治療ができません。一見治ったように見えても再発する可能性もあります。
細菌/治療日数 | 1日 | 3日 | 5日 | 8日 |
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無乳レンサ球菌 | 98% | 99.9% | 99.9% | 99.9% |
ストレプトコッカス・ディスガラクティエ | 20% | 40~60% | 80% | 95% |
ストレプトコッカス・ウベリス | 5% | 30% | 70% | 90~95% |
テンテロコッカス属 | 0% | 0% | 0% | 0% |
今は無駄な経費を使ったり、廃棄乳を出したりできる時代ではありません。治療方針を立てる基礎データが必要です。当ラボでは、バルク乳検査から乳房炎の予防や治療が的確にできるような情報を提供してまいります。